パワハラ、セクハラ、モラハラ、マタハラ・・・今の世の中にはこんなハラスメントが溢れています。
全て罪に問える時代に感謝するべきなのかもしれませんが、この世代を生き抜いてきた中高年者にとっては生きにくい時代なのかもしれません。
ですがやはり時代にそって仕事の仕方や生き方は変えていく必要があるものです。
なかなか無くならないハラスメントですが、長野県佐久市の保育園でパワハラによりたくさんの保育士が退職するという事態になったようです。
長野県佐久市で保育士が12人退職
長野県佐久市で2020年春に就任した理事長と当時の園長を含む職員たちとの間でなにか問題があったようです。
パワハラを受けたと主張する側と、パワハラなどしていないと否定する理事長。
これはよくある話です。パワハラだと思っていない人がパワハラをすればしていないと本当に思っているのに、受けた側はパワハラだと主張する。
いったいこの保育園でなにがあったのでしょうか。
社会福祉法人が運営する佐久市の認可保育園で昨年春以降、園長(当時)を含む保育士らが理事長の解任を求める嘆願書を提出、これに対し理事長側は要求を拒否し、園長を解任するなど対立が続いている。関係者によると、3月末には職員の約2割に当たる保育士9人が一斉に退職した。職員の一部は理事長からパワハラを受けたと主張するが、理事長側は全面的に否定。保護者からの相談を受け、市も保育への影響がないかどうか園関係者への聞き取り調査を始めた。
(記事引用元:Yahooニュース)
この記事では3月末に保育士9人が一斉に退職したとありますが、実際には2020年度で12人の保育士が退職しています。
この保育園の園児は2021年4月1日現在で144人で、今春に職員を4人採用して現在保育士は28人で配置基準を満たしているのでそのまま保育園は運営されているそうですが、この保育園に子供を預けている親の不安はどうなのでしょうか。
子供たちにとっても先生が何人もいなくなって、新しい先生が来たばかりで不安な子供もたくさんいるのではないでしょうか。
12人退職した保育園で何があった?
12人もの保育士が退職したこの保育園で、いったいなにがあったのでしょう。
まずこの問題とされる理事長が就任したのが2020年春でした。
その年の6月には理事長から威圧的な言動を受けたとして保育士らが改善を求めて理事長の交代を求める嘆願書を法人に提出していました。
たった数カ月、おそらく2~3か月だと思いますがそんな短期間に法人に嘆願書を提出するほどたくさんの保育士や園長がパワハラと感じる言動を受けたのです。
7月には労働組合を組織しましたが、その中心人物となっていた園長は職を外され一般の保育士になっています。
こんなツイートがありました。
やっと取り上げてもらえました労基に言っても解決しなかったそうです。(私自身は被害者の親族です) あんまり真偽不明なことをSNSで書くと被害者が加害者になりかねないので、ここらへんで……できたら広めてほしいです
【長野県 佐久市 保育園 パワハラ疑惑】※2021年4月16日付の信濃毎日新聞にて pic.twitter.com/C7VJYrONHg— 日常のどて (@nichijo_dote) April 16, 2021
労働基準監督署でも解決してもらえなかったようですね。
理事長が認めないのであれば労基も手出しできません。
後任の園長も解任されていますが、それについても「不適任であることを示す事実があった。理事会で十分に時間をかけて審議をして決めた」と説明しています。
この理事長になってから園長が2人も変わっているということは事実です。園長先生が1年の間に2人も変わるということは園児にとってどれだけの影響があったことでしょう。
もし理事長が言っていることが事実だとしても「不適任」と数カ月で言わせる人を選任したのもまた理事長ですよね。
12人が退職した保育園はどこ?
12人もの保育士が退職した保育園はいったいどこの保育園か気になります。
情報としてあるのは
■長野県佐久市にある
■開設から70年以上経っている歴史ある保育園
■佐久市の認可保育園
■理事長は2020年春に就任
■2020年度で12人の保育士が退職
■2021年4月1日現在で園児が144人
■2021年春には職員を4人採用
そして長野放送が掲載した保育園の風景画像がこちらです。
佐久市のホームページより認可されている佐久市内の私立保育園一覧を見つけました。
(画像引用元:https://www.city.saku.nagano.jp/kyoiku/kosodate/hoikushisetsu/01820150515144627460.html)
このページには掲載されている保育園の㏋へのリンクがあったのですべて見てみたところ、ある保育園でこのような画像がアップされているのを見つけました。
これは長野放送が掲載した庭ではないでしょうか。
キリンの滑り台が同じですね。
この画像がアップされていたのは『聖愛保育園』です。
聖愛保育園の求人情報を見つけたところ、保育園の紹介が書いてありました。
創業も古く、70年以上経っていますね。
そして従業員が47人ということですが、職員の約2割に当たる保育士12人が辞めたということは実際には60人ほどの保育士がいたという計算になります。60人いた保育士のうち12人辞めたら48人。だいたい人数も同じですね。
これだけ条件が一致すると『聖愛保育園』である可能性が高いかと思います。
理事長は誰?
もし『聖愛保育園』であるとしたら、理事長は誰でしょうか。
聖愛保育園の㏋を見たところ、このような表が見つかりました。
ここでは理事長が長岡恵里さんとなっていますが、求人情報に乗っていたのはこちらでした。
もしかしたら保育園の㏋の更新が遅く、2020年春に長岡恵里さんからこちらの長岡篤郎さんに変わったのかもしれません。
よく見ると平成29年4月1日の内容でした。
それにしても名字が同じですがご夫婦とか親族なのでしょうか。
双方で言い分が対立
保育士たちはどんなパワハラを受けたと主張しているのかをまとめてみました。
■職員には休む権利はないなどと言われた
■人格を否定する発言があった
■理事長に『あなたは仕事ができない』などと心ないことを言われた
このようなパワハラを受けたという主張に対しての理事長の言い分
■パワハラは事実無根
■退職は、結婚や出産など個々の理由が重なっただけ
完全否定ですね。
これではきっとどんなに頑張っても話し合いにも歩み寄りもできなかったでしょう。
これだけの問題になっても理事長は継続するそうです。
辞職を求める動きについて「正当な理由がない」と話しているということです。
保護者の反応は?
今回の保育士が12人も辞めてしまい、これだけの騒ぎになってしまった保育園に子供を預けている保護者はいったいどう感じているのでしょうか。
保護者の代表の方はこう言っています。
「安全な保育ができているか、不安を感じながら預けている状況。(保育士も園児も)心から笑い合える園になってほしい」
不安でしかないと思います。
園長先生も、馴染の先生もいなくなり心細くなった子供たちを、パワハラでねじ伏せているとされる理事長がそのまま居座り続けるのですから。
保護者会は、佐久市と運営元の法人に対して理事長の交代と正常化を求める請願書を提出しました。
世間の声
この保育園に対する世間の反応がこちらです。
12人が一斉に退職する事自体が異常なのに、理事長はパワハラはなかったと、自分の保身しか考えていない。
だいたいパワハラをする人間はその認識がないから困ったものだ。
パワハラの被害者の人達の為に、再度きちんと調べ直して真の事実を明らかにするべき。
事実無根は、ないかな。
程度の大小はあるにしろ、さすがに闇があると感じます。
理事会側はまずは利用している保護者に安心材料を提示するのが順番かと思います。
理事長がお幾つなのか報道はされていませんが、60〜70歳くらい?
旧帝国陸海軍経験者から育成を受けた世代は、パワハラの認識が違い、今のパワハラの定義も頭に入っていません。
自分の経験からしか判断できない頑固さと若手をバカにする風潮も持ち合わせています。
政治と同じで、これら世代を一掃できない組織は、衰退していくでしょう。
12人が一斉に辞める事に、「退職は結婚や出産など個々の理由が重なっただけ」って言い訳は苦しいと思う。
しかも、本人たちがパワハラを受けた、と主張しているなら大なり小なりあったのでは?
ハラスメントの立証って実は意外に難しい。受け手の主観が大事って言うけれどパワハラで自己都合退職しても、確たる証拠が無い限りは会社都合に出来ないし。
そんな都合よく音声や映像を撮影出来る場面、なかなか無い。
今回は複数人の証言もあるようだし、良い方向に進んでほしい。
確かにパワハラを立証するのは難しいし、パワハラだと判断する基準もないので罰する方法がないと思います。
パワハラなんて言葉を知らない世代の人が今まで自分がされたこと、教えてもらったことを実践しているだけとしか認識していないということもあります。
昭和~平成~令和と時代は流れていますが、それぞれの異なる時代に生きてきた人たちがわかりあえるのは難しいことなのかもしれません。
まとめ
現在の20代~30代の人は仕事を辞めることに違和感はないのかもしれません。「終身雇用」という時代でもありませんし。
でも仕事を辞めてすぐに見つけるのも難しいと思うのです。子供たちへの愛情もあったし、保育士という仕事は好きだったのでしょう。その人たちが一斉に退職するのですからよほど訴えたいものがあったと思います。
こうして世間から注目を浴びるようになってホッとしているかもしれません。
退職という最終決断が無駄にならないよう、この保育園がいい方向に進んでくれるといいのですが。